11日(水曜日)のこと、休診日に湯の峰温泉に出かけました。

   阪和自動車道及び紀勢自動車道を経て上富田インターチェンジから国道311号線に入り目的地に至る予定でした。

 7月でもなく、8月でもないのでそれほどに渋滞もひどくはないだろうと考えていたけれど、でもやはり暑さの中を運転していく主人にも申し訳なく、

  早々に出かけました。

  乳がんの治療はほぼ終わったのですが、自宅は山の中でやぶ蚊も多くそのせいなのか、時折皮膚のかゆみに襲われ、

    もう血が出るまでかきむしり、恐ろしい状況になっています。

    加えて背骨の圧迫骨折のための痛みも今もひどいし…と言うわけで湯の峰温泉に出かけました。

 中里介山著の『大菩薩峠』で主人公の机龍之介が龍神温泉の奥にある曼陀羅の滝にて視力を回復する一節も有名ですが、

あの世にまで至った小栗判官が照手姫の力で湯の峰温泉に運ばれ、温泉の湯に浸かり命を取り戻したという伝説も捨て難く

 今回は自身の健康を回復したい、と言う強い気持ちで湯の峰温泉に惹かれました。

 そして311号線を主人の運転の車で向かっていた時、道の傍らに車に轢かれて骸となっている狸を見つけました。

カーブの曲がりでその場に至らないとと言うより、通り過ぎてから

『あれ、動物の死骸だ。』と気が付くタイミング。

あっという間に通り過ぎてしまいました。

 そのまま目的地に進むも道に残された死骸が気になって…

それほどに道の真ん中、と言うわけではないのだけれど丁度左側の車輪が通る辺り、対向車がなければ大丈夫だけれど、

もし対抗車線にかわすことが不可能であれば車の車輪にかかり無残なことになってしまう。

もう命は尽きているから、そのことが運命を変えることはなく、無駄なことを…と思いつつも車の中で気持ちがどうにも落ち着かない…。

主人に『引き返して。』と。問題の個所に車を停めた主人は『カーブだから十分に気を付けて』と。

いつも車に積んでいる簡易の医療用の手袋を取り出し、両の手にはめ、動物に近寄りました。

手袋越しに指でつつくと既に死後硬直が起こっていることが分かりました。車から見た時には狸と思ったのですがとがった鼻、鋭い口を見るとキツネ?

でもまだ子供で小さく、幼くして生を終わってしまったことを不憫に感じました。

とりあえず道脇の山の斜面に体を移し、辺りの草で体を隠して、それでできることは精一杯。

体は蟻に食われ、カラスにつつかれ、蛆が発生し、やがて自然に返っていくでしょう。

野生の動物に人間が深くかかわるべきでなく、自然の摂理に任せるしかなく‥

数分後、その場所をあとにしました。

でも少し気持ちが救われました。

最近、心に棘の様に刺さる嫌なことが有ったのですが、何か心が救われ、心の棘が解け去り

心地よく旅を続けることが出来ました。

キツネ?狸?の贈り物かな……???

って、私の都合の良い解釈…。