いらいらとする時間を新快速の中で過ごしつつも京都に着いてみればまだ7時50分。
電車で京都に行くときはいつも先頭車両に乗って
京都到着後さらに東に向かって歩いて地下鉄に乗るのが習慣になっているので
そのつもりの主人は電車降車後、右に折れて歩いて行こうとする。
その袖を引いて反対方向に歩いて階段を上ろうとするといつもと違う道選びにうろたえている。
『今回は八条口に出るからいつもと反対方向なの。ちゃんとついてきてね。』
と言うと人ごみの中で戸惑ってうろうろしている。
階段を上がるとこれまたいつもと違う、いつもならば右に折れて烏丸口の方に行くのに反対に左に折れる。
しばらく歩くと、また右に折れて改札口。そして左にまた折れて通路を歩いて行く。階段を下りて、八条口に至る。
ここまではとりあえず無事についた。
道路を渡り、バス会社のチケットブースに乗車引換券を渡し、座席表を受け取る。
座席表を見れば、3C,3Dと書かれていて一安心。
『並びで席が取れないかもしれません、ご了承下さい。』とのバス会社から但し書きにそれは困ると思っていたが、
平日だし、多分大丈夫だろうと高をくくっていた。
が万が一、日本人女性の隣に座席をとられていたら向こうにとっても気の毒だし、主人も大変。
伝達は私が英語でしないと何もわからない主人なのに、席を遠ざけられたら
そしてバスの中で都度都度英語で叫ぶ私自身の状況を想像したら
それだけでめまいが…。
更になおさら問題なのは車の運転は非常に自信がある主人なのに、人の運転の、特にバスに乗せられると車酔いをする。
それを防止するためには比較的前列で前を見ていないといけないから、問題のある席であれば何とか変更してもらう必要がある。
3C,3Dの座席表にそれなりに前列で並び席だったのでとりあえず一安心。この時既に8時10分。
で、出発までの時間に朝食を済まそうと場所を探し始めた。
チケットブースの方に『朝食を食べられるところは?』と尋ねた時『道を渡ったところに´なか〇’があります。』と教えて頂いたけれど
『あ~あ。´なか〇’に主人の食べられるものはないな~。』とため息。『仕方ない。自分で探すか!』
と道路の反対側から京都駅ビルの方を見ると星〇珈琲の文字。
『星〇珈琲なら主人にも大丈夫かな。でも2分ほど歩けばある都ホ〇ルのモーニングのバイキングも結構コスパがいいのだけれど。』
とか考えつつ。
『でも昼食にすき焼き鍋がついているからそれが食べられなくなるも困るし。ここは軽く済ます方がいいかな?
ゆっくりとモーニングを楽しむだけの時間も十分にあるわけではないし。』
返す返すも大阪駅で無駄にした30分がもったいないなく思われてくる。
とりあえず星〇珈琲の状況を見ようと駅ビルに入ってみると、恐るべしツーリズム!!既に7人ほどの行列。
『朝食食べられるの?』こんな状況なら都ホテルのモーニング事前予約しておけばよかった、と考えたけれどもう後の祭り。
とりあえずボードに主人の名前を書き主人を星〇珈琲の行列に残して、他の空いているところは?と探し始めた。
すると隣は'イ〇ダ珈琲’、行列はどっちが長いとも短いとも言えない状況。
私はそちらの行列に並び、星〇珈琲の前にいる主人の動きを見つめていた。
主人は身長が190㎝近くあるから、外国人も行列には並んでいるけれど何とか頭一つ抜きんでている状況。
その頭が店に入るような動きが見えたら自分もそちらに動こうと考えていた。
それに店の前にあるボードにも主人の名前で登録してあるし、
日本語発音でもなんとか自分のファミリーネーム(姓)ぐらいは理解してくれることを期待していた。
でも、そのことを説明していなかったな……。
ゆっくりとだけれど行列は進んで、次の順番には私は店内に案内されるであろう所までこぎつけることができた。
その状況で主人の頭を見ていると、消えた!!!
もう一度見てもやはり見えない。
せっかくの獲得しつつある順序を失うのがもったいなくもう一度背伸びをしたがやはり見えない。
『店に入るならなんか合図ぐらいしろよ。こっちは全く状況がつかめないだろう。』と腹が立つが
『謹厳なイギリス紳士にそんなことを求める方が無理か!』
少し、考えて主人の方に行くことにした。この時8時45分。
歩いて店内に入ると小さなテーブルに腰を掛け、今まさに席を立って私を呼びに行こうとしているところだった。
テーブルを見ると二人分の水の入ったグラスが…。
そしてメニューを指さして『これをちゃんと二人分注文したよ。僕はカフェラテで、君は珈琲。』と彼は誇らしげに言う。
しかし、しかし、しばらくして来たのはゆで卵付きのトースト一人分とカフェラッテ1カップ。
日本人として
『本当に二人分注文したのならば同時に来るはず。この状況は絶対におかしい。』
「本当に二人分注文したの??」
「したよ。だから水の入ったコップが二つあるだろう。」
でもコップがあるからと言って注文がされているとは限らない。
で、通路を歩くウエイトレスを呼び止めて尋ねると案の定私の分の注文は………通っていなかった。
「トーストとゆで卵でしたらすぐにお持ちしますが。」
と言ってくれたけれど
「時間も急いでいるので申し訳ないけれど今のこれでお勘定させてね。」
と断りを言い、すかさず主人には
「あ〇(日本語)!自分だけ朝ご飯を食べて!!!」
と心の中で叫んでおいた。
永源寺、参道の傍らに立つこの少しユーモラスなお坊様姿の像
バスガイドさんの説明によると
永源寺で修行されていた若いお坊様がオートバイの事故で亡くなられ、
彼の親族がありし姿を偲ぶために
彼の姿を彫像としてこの場所に建立したのだと。
可愛い姿のお坊様の姿にそんな悲しい話があるとは…。
人生やはり悲しみをこらえて生きていくこと多いものだと
いまさらながらに身につまされました。