昨日は患者様を始め色々の方から、
『白い粉の正体を早く書いてくれ、ストレスになる。』
と言われ続け…嬉しい(?)悲鳴を上げています。
京都府警の方が私達の車から見つけ出した白い粉の正体は…
勿論、覚せい剤でもなく非合法の薬剤でもなく
“塩”
です。
じゃ何故に塩が私達の車の中にあったのか?
日本人がよくする魔除け、邪払いのため、いえいえ、その理由も甚だばかげたもの…。
実は主人が天ぷらを食べるためのもの。
主人は天ぷらが大好物なのですが、いまだに天つゆしか提供してくれないところが多い、でも塩で食べたいのです。
日本語が十分に話せないために、いちいち塩を頼むために私を煩わせないといけない、それが嫌で、車の中にmy salt(僕の塩)を用意しているわけです…。
その量もティースプーンに半分くらいの量、
とにかく料理屋さんにばれないようにひっそりと持ち込みたいので目立たないように目立たないように
小さい小さいプラ袋にほんのわずかの白い粉、もとい塩なのです。
『あ~あ、またややこしいことになる。』
と心の中でため息をつきながら、立場を変えてみれば覚せい剤を持っていたとして
『はい、これは覚せい剤です。』
というわけもなく、塩なんて言い訳を過去にも使った人間がいるかもしれない。
『もうこれは究極まで行くしかないな~。それならこちらからそう提案する方が話は早く進むかな?』、と。覚悟を決めました。
『塩に間違いないのでいくらでも調べてもらって結構です。
私の仕事のこともありますので、芥子の実程の疑いも残してほしくないので。』
それからその白い粉をどうするか、の指示を本部に求め始める。
実際に働いているのは2,3人。後の7,8人はなすことなくぼっと道に立っているしかない状態、に見える。
暇そうな警官の一人に『なめてみる?』と聞くと『いいえ、結構です。』と辞退されていたので、ドラマなどでよく見る探偵がなめて
『ああ、これは塩ですね。』なんて言うシーンは実際の場面では起こらないのだなあ、と認識しました。
でもまだ解散、或いは署に帰る命令が出ないということは私達に対する疑いは晴れていない???
一人の私服姿の女性が近づいてきた。近隣の人かと声を掛けると
『私も警察のもので…。』
と言う。
『じゃ、彼女が話している私服の男性も警察関係者、人数を訂正しなくちゃ。
10人ではなくて12人だ!!!税金が…税金が飛んでいく、ものすごい勢いで…などと考えていた。
でも警察だから、京都市民・県民税で私には関係ないのかな???
わっ、これはブログに書いてやらなくては。しっかり覚えておかなくては。』
もうここまでくると私も完全に開き直り…。
『返事を待っている間、どこかに行けばきっと疑われるよね。
ここにいるしかないよね。服をちゃんと着ないと風邪をひきそうなんだけれど。
でも、そうするとあのコーナーの集っている世間の群衆を
かき分けて行かないとならないからそれもうっとおしいか…。』
彼らも気まずいのか、
『あなたの態度と説明から疑いはないのですが…。一応通報がありましたので…』
と言い訳(?)もどき、歯切れの悪いことを口にしている。
もう彼らからアラカルト情報を引き出してやろう、と過去のとんでもないことを考える。
『数年前に私、化学療法の副作用から重症肺炎を起こして
河内長野から京大病院に運ばれたのですが、
そう言う時って救急車どのくらいのスピードで高速を走るのですか?
80kmを超えてもスピード違反にはならないのですか?
第二京阪の制限速度は80㎞と表示されていますよね。』
この私の質問に対して
『どのくらいのスピードで走るかは救急車の判断で…』
とおっしゃりながら、しばらくすると
『患者さんが重篤な状態の時には救急車の判断で100kmまで出すことはあります。
でも100kmを超えることはありません。』
『ふ~んそうなんだ。では質問第二…。』
そしてさらに質問第三…。
そうこうしているうちに彼らに指示が飛んできた。『京都北警察署に行ってもらうことはできますか?』
心の中で『何を考えているんだ。どれだけ人の時間を邪魔するんだよ!』
この時で既に始まってから1時間15分。
『しかし一応警察まで行くことに対応しておかなければ…。なまじここで抵抗すると痛くもない腹を探られるよね。』
横で会話についていけず、ぼっと立っている主人に
友人の部屋に行って私が広げている荷物を撤収するように。そしてそれをすべて持って降りてきて車に積み込むように頼んだ。
警察署に行かなければならないのであれば早急にこの場を離れないといけないし、
ここで警察との問題が片付いたとしても、私たちの車がおかしいと通報した人間がこのあたりにいる筈…。
その人間がいかなる意図を以て通報したのかわからないけれど、もし私達に悪意を持っているとしたら…、
そしてその人間が隠れてこの場の成り行きを見ているとしたら…。
彼または彼女の意図に反して私たちが無事に問題を納めたのを見た時、どんな動きをしてくるかはわからない。
おとぼけさんが間違って通報したのであればいいけれど、もし何かの意図があったとしたら厄介な問題を引き起こしてくる可能性もある。
この多くの警官がいなくなった時、私達もこの場を去るほうが無難…。
そんなことを考えていると警官の一人が
『この後のご予定は?警察署に来てもらうことは可能ですか?』と尋ねて来た。
『大したものはありませんけれど、うちの顧問弁護士の先生になり田の漬物を頼まれているので、上賀茂に行かないといけないですけれど。』
と答えつつ、あえて顧問弁護士に少し力を込めた。
あまり無茶なことをすれば、顧問弁護士の方を引っ張りだすよ、と少し強調。
『それはとても大切な御用ですね。』
『一体どういう意味?』と首をひねる私。
狐と狸のばかしあい…???
ともかくも警察署に行く必要はないとの事で、塩の検査に同意する書類にサインして拇印を押して、ほうほうの体でその場を離れた。
なり田で漬物を買い求め、近くの大田神社でかきつばたを鑑賞し、弁護士の先生の事務所のある和歌山に一目散。
休日にも関わらず、先生が事務所で仕事中なのは確認済み。
いきさつを話すと
『いつもの事ですが先生拾いますね。』と大笑いされる。そしてそのまま
『そこまで大人しく言う事を聞く必要はなかったのに。』と更にお笑いになる。
でもね…。12人の制服私服警官、挙句に刑事にまで取り囲まれ、計算すればここは大人しくしている方が賢かったよね、と自分に言い聞かせた。
和歌山に向かう車の中で主人に一体どういう事だったの?と聞くと
『進々堂のカマンベールのパンが食べたくなって食べていたら知らない間に三人の警官が車の中を覗き込んでいた。
それが5人、7人増えて行って…。』
それはあなたもびっくりしたでしょう、かわいそうだったよね、ということで車を動かす暇など全くなかった模様。勿論事故も起こしていなかった。
車を動かす時間などなかった模様…パンをかぶりついた瞬間、警官に車を取り囲まれていた模様。
そして加えて
『美智子が降りてきて、状況をみて、きらりと目が光っていて、ああ、美智子はどっちの方法で行くか考えているな、と思ったんだよね。
全く状況におびえても、怖がってもいないと思った。』
と、私を誉めているのか、それとも呆れているのかわからないような言い方をする。
そしてこの顛末ですが、いまだまだ片付いていなくて警察は書類のサインか何か足りなくて内部的に事態の収拾がつけられない状況らしい。
それに対し、弁護士の先生は
『先生たちに迷惑をかけたのは事実なんですから、そこの所は分かってもらいましょう。
先生がサインをするために京都に行く必要などありません。彼らに来てもらいましょう。』
ということで彼らは書類を完成するためにサイン一つのために京都から河内長野に来なければならない状況。
ところがその日程の調節のために連絡を取ろうとするのにその連絡の取り方もちゃんと説明しておいたのに
情報の共有がちゃんとできていず、私が携帯電話に出ない診療中時間にかけてきている…。
はっ、いつ片付くことやら…。
これが今回の顛末です。長々とお読み頂きありがとうございました。



最後にもう少しかきつばたの写真と大田神社の門前です。