石山寺を出て、『これからどこに行くか?』と考えて、と言うより原案は『赤山禅院に行こう。』でした。

赤山禅院、知る人の少ない場所ですが、京都の隠れた紅葉の名所です。

赤山禅院は平安時代の888年に創建された比叡山延暦寺の塔頭の一つであり、皇城の表鬼門として機能しています。

で、そんな講釈よりも私がここを好きな理由は拝観料がいらない事、車で行っても駐車料金がいらない事、等非常に実際的な理由なのです。

特に京都紅葉の時、観光地は拝観料も特別料金で、気持ち良く回っていると結構お財布が寂しくなってしまいます。

この後、巡った曼殊院は一人1000円、詩仙堂は700円はまだ良いとしても、(それでも結構痛いけれど…)瑠璃光院2000円、圓光寺1500円等々、あっという間に一万円札がお財布から消えていく。

滋賀県大津の石山寺から左京区修学院の赤山禅院にいかにして行くか?

もう一度800m歩くのは勘弁してほしいし…。

石山寺の拝観を終わってみると、結構歩くことが多くて今はどこかに腰を下ろして休みたい気分。

しかしいずこも観光客であふれていて、カフェも茶店も行列。

茶店の外に置かれている床几も観光客で一杯で、腰を下ろす余地がない。

買い物をしないのに腰を下ろすことも気が引けるけれど、買い物をするのにどれだけ待たなければならないのか、30分、45分…見当もつかない状況。

さて、どこかに座る所は…と見まわしてバスシェルターが目についた。中を見ると腰掛もあるし、休むことができそう。

リュクサックから大阪駅で買い求めたサンドイッチを出すと、主人が食べ始めた。

バスシェルターの中を覗き込み、周りをぐるぐる回っても、バスの時刻表が見当たらない。

『一体、このバス停は機能しているの?』バスがやって来るかどうか不安なこと。仕方がないからバス停の外で道路を睨んでバスが来たら素早く行動しようと身構えていると、のんびりと主人が

『サンドイッチを食べないか?』と尋ねてくる。心の中で『のんきなあなたがうらやましい。』とつぶやく。とてもじゃないが、のんびりとバスシェルターの内に座って、サンドイッチを食べる気にはならない。

動物園の熊の様にうろうろとシェルターの周りをぐるぐると回りながらバスが来ないかと道路を睨んでいる私。喜劇だ~と思う。

やがてバスが無事に来て、見るとなんと石山駅まで行くらしい、となると京阪の京阪石山駅から石山寺までの部分は省略することができる。

で、無事に石山駅に至り、京阪石山駅から京阪を乗り継いで出町柳まで至ろうと考えた。

改札口を通りホームに至ってから、ふと『なぜ、私はここにいるのだろう?』と突然考え始めた。

出町柳に行こうと考えていたから、京阪線に考えなく至ってしまったのだけれど、ここは絶対JRの方が早い。

再びホームの階段を駆け上って、京阪の駅員さんに

『出町柳まで行くのに、JRで山科まで行くのと、京阪だけで行くのとどっちが早く着きますか?』

と尋ねた。心の中で『なんと失礼な客だ!』と思いつつ…。でも京阪の駅員さん、とっても親切にタブレットを出して調べて下さった。

で、『JRの方が早く着くと思いますよ。』との答え。で、『改札通ってしまったこのカードを取り消して頂けますか。』と言うと親切に取り計らって下さった。

(京阪の駅員さん、本当にごめんなさい)

JRのホームに急いで、山科までJRで。そこでJRを降りて京都市営地下鉄の乗り換え、京阪三条に至る。そこで京阪線に乗り換えて出町柳。

結果論として随分早く、出町柳に至ることができた。

出町柳からは可能であればタクシーで、もしタクシーが捕まえられなければ叡山電車で至ろうと考えていた。

出町柳駅でのタクシー争奪戦は結構厳しく、最初に止めたタクシーは主人が遅くて他の客にとられてしまった。

いらいらしながらぱたぱた地団太踏んでいると主人がやってきて、再び止めたタクシーに乗り込むことができた。

しかしこの捕まえたタクシー、個人タクシーのくせに赤山禅院を知らない、と言う恐ろしい状況。

『何が悲しくて、京都で観光地に行くのにナビをしないといけないのだ。もっと勉強して!目の前のナビは一体何のためのものだ!』

と叫びたいのを我慢しつつ…。至りました!!

 時候がうまく合えば、この道は見事な真っ赤なトンネルになるのだけれど、今年はそうはいかなかった。

 

赤山禅院、面白いのはこの本堂の屋根に上っている猿…。

これが鬼門除けのためで、

幣と鈴を持った猿が本殿の屋根に飾られています。

  かごに入っているのはかつて夜になると抜け出しいたずらを

繰り返したので、金網に閉じ込められた、と伝えられています。

赤山禅院の点景…

赤山禅院で好きな事はもう一つあって、この詩碑。

演歌作詞家 石坂まさをの作品らしいけれど

  
  自らの心の子と書いて息子と云うなら
  俺がやり残したことを受け継いでくれ
  このひとすじの道あせらず急がず
  男らしく何かを成し遂げてくれ
  風に狂って生きても風のやさしさ忘れず
  風の旅人のように夢を追ってくれ



後この赤山禅院は千日回峰行とのかかわりの深いお寺となっています。

そして千日回峰行を満行した方が住職となられ、各種の祈祷が行われています。

住職様の行とは関係ないとは思いますが、毎月16日に占い師の方がおいでになられます。

で、赤山禅院のご紹介は終わりです。