さて、リムジンバスの中でも秋田新幹線に間に合うかどうかで気が揉めてイライラしている私、対し主人はのんびり。

このリムジンバスは私が知っている他のリムジンバスとは異なり、出発地秋田空港と到着地秋田駅の間に一杯停留所がありました。

 でも、今さらに停留所から乗車する人もなくノンストップで秋田駅を目指して走って行きました。

 と書くと、高速で行ったかのような印象を持たれる人もいらっしゃるかと思いますが、通常の路線バスのスピードで…。

チェーンを巻いてシャラシャラと走る車、その割に交通量が多いから仕方がないか…。

 私のイライラは解消することなく、更に募る…。

結果、予定通りと言うか計算通りに10分前に秋田駅に着いた。

もう着く前から、近づく秋田駅を睨んで、どこが駅か、駅へのアクセスはどこか、必死でバスの中から探していた。

 急いで降車しようとして、ピタパをパッシとリーダーに接触させて赤ランプが着く。

 『おかしいな。交通系カードは使えると書いていたのに。』

と思って、フリーズしていると、運転手さんが

  『奥さん、チャージゼロだから駄目だよ!』と。

(奥さんって呼び方嫌いだなと、思いつつ…。私は家の奥にはいないぞ、と。

  まあ、おばあちゃんと言われるよりはましか…。もうすぐそう呼ばれるようになるのだろうなと。

    時の経過は早い…。)

『えっ!ピタパにチャージしておかないといけないの?昔はJRに乗る時に事前チャージが必要だったけれど…。そんなのずっと昔の話じゃない。』

と喧嘩しても始まらないので、運転手さんのいう通りにチャージしてそれで払った。ちなみに同じ動作を主人に説明してさせないといけない。

『もう焦っているときに限ってこんなことが起きるのよね。』

と思いつつ、秋田駅に走る、走る。主人にはバスの中で

『時間が切迫しているから走るよ。ついてきてね。出ないと一時間駅で待たないといけないからちゃんとついてきてね。』

 (しかし、走るよって…。私は癌患者なんだよね。それもそのために背骨を圧迫骨折もしたのだよね。

 足も手も化学療法の副作用が残って痺れているのだよね。)

 一体人間の力ってどうなっているのだろう…。

    ただ単に秋田新幹線に乗るために火事場のバカ力を発揮している私。矛盾している…。

目の前にあったのは階段。エスカレーターなりエレベーターを探している時間はない。

予定の秋田新幹線に乗るために必死に階段を駆け上がる。

圧迫骨折している身で…。手も足も痺れている身で…。やっぱり人間って不思議だ!!!

一応主人もついてくる。

運の良いことに改札口の表示がすぐ視野に…。その傍に秋田新幹線の切符の自販機がある。幸いに機械の前に行列はない。

急いで、田沢湖まで…。大人二人分の切符を買って、全車指定席らしい。座席はおまかせで。

余計な座席を選んで、時間がかかってはたまらない。

とりあえず、切符をひっつかんで、ホーム目指して再び走る。

コンコースに暇そうな顔をした駅員さんが立っていて

『こまち22号東京行はこちらのホームでいいですか?』と尋ねると、なんでそんな決まったことを尋ねるんだという顔で

黙ってうなづかれた。

ホームに降りると止まっていた新幹線、それが私たちが乗る予定のこまち22号東京行でした。

とりあえず座席に座って、ほっとする間もなく新幹線発車。間に合った!!!

      写真は秋田新幹線…。

 


秋田新幹線、いろいろの点で私の想定外でした。

 まず、次の駅、大曲までは腰掛け位置後ろ向きで進む、対向車をやり過ごすために時間待ち停車が二回、そしてスピードはローカル線並み。

大曲からは普通に前向きに進んでいく。しかしこの対向車待ちの時に対向車が遅れたために私たちが乗ったこまち22号も遅れて行った…。

『心の中で、また延着か…。』何かもう頑張る気も失せてきて、

 『雪国の人はだから辛抱強いのね。こんな瞬発力で戦っていた日には疲れてしまってたまらないもの。

   大体自然を相手に自分の意思を通そうとしても勝てるはずがないものね。』

と次第に諦観の境地に至っている私???でもそうは行っても田沢湖駅に着くとおいて行かれてたまらない、ローカルバスに乗らないと、

とまた走っている人。やっぱり悟りの境地はまだ遠い…。

 


           田沢湖駅ホームに飾られている龍の置物…。

そして、またまた新幹線を飛び降りるように降りて、駅の建物を飛び出すとバスが待っていた。

係員みたいな人がバスの前に立っていて

『走らずとも大丈夫ですよ。』と、私を見て笑いながら言った。

すみません、関西人はせっかちなんです。関西人の中でも私は特にせっかちなんです。

ローカルバスに座席を占めて、いよいよ山間部に

『ここまで、何とか無事に来れた~。』

あとはもう、このバスを待っているホテルからの迎えのバスに乗るだけ…。

で乗り継ぎは無事に行き、ホテルに無事に着きました。そして広がる景色は…。

 

もう、言葉は出ません。

お迎えのバスの運転手さんに『奥まで歩いて行って、一番奥に事務所があるから、そこで。』

って。

『ここを歩いてくの???』と固まる私。