さてアガサ・クリスティーの作品の続きです。
警察の捜査と相まって色々の事が明らかになっていきます。
命を脅かす脅迫をマリーナが何度も受け取っていた事、バドコック夫人の現在の夫がマリーナが有名になる前の最初の結婚相手であったこと、大祭典のカメラマンとして来ていた女性が実はマリーナの養女であった事、…等々。
事件はどんどん複雑になり、犯人の可能性のある人物はどんどん増えていきます。
そして第二、第三の殺人事件が起こっていきます。
彼らの秘書の女性が毒殺され、彼らが雇っているボーイが射殺されます。
二人ともに誰かを脅迫していたことがうかがえる事実が浮かび上がってきます。
二人とも一体だれを脅迫していたのか?何を知っていたのか??
結局、殺人現場の何かを見てしまったのだろう、と言う結論に…。
と、同時にあの時にマリーナに絶望的な表情をさせてものは一体何だったのか、
彼女は茫然として何を見つめていたのか?
マープル嬢の(と言ってもかなりの高齢ですが)興味はそこに帰着していきます。
あの時にマリーナ及び彼女の夫に挨拶しようとして
階段室に多くの人が溢れていました。
そして、その場面にマリーナ夫婦を助けるため、客を接待するために
彼らの秘書、ボーイもいました。
その時に目撃した何かについて彼らが誰かを脅迫しそして殺されたのではないか、と考えられたのです。
マリーナの養女のカメラマンが撮影した写真を確認すると、
この時にマリーナが見ていたのはバドコック夫人ではなく
彼女の背後に吊るされていた大きな絵画、
赤ちゃんのキリストとそれを抱くマリアであったことが分かってきます。
どうしてマリアとキリストの絵を茫然として見ていたのか?となると
当然、風疹のために極度の精神遅滞を持って生まれてきたマリーナの子供、
その子供の事が鍵となっているのではないか。
だから彼女が絶望的な表情を浮かべて母子像の絵画を見つめていたのだろう。
それと同じくして、マープル嬢の雇っている女中が友人をマープル嬢のもとに連れて来ます。
その友人が『あの時、マリーナのドレスがバドコック夫人のこぼしたカクテルで汚された。
例え汚れていても素晴らしい生地だからあのドレスが欲しい。』と言い出します。
加えて、『あの時、マリーナは自身の肘をわざとバドコック夫人の手にぶつけてワインをこぼさせた。
そしてバドコック夫人に自身のカクテルグラスを代わりに渡した。』
と目撃したことを述べます。
ここで以前転倒した時にバドコック夫人に聞かせられていた話もマープル嬢の頭の中で重ね合わせて
すべてがつながり、誰が犯人で、その動機もなんであったかが判明してきます。
警察官同道のもと、ゴシントンホールに急ぐのですが
なんとそこで起きていたことは…。



こちらはゴシントンホールではありませんが…。
勿論、ゴシントンホールは小説のための創作の建物です。
こちらはブランドルズホールです。古くからの豊かな荘園領主により建設された実在する建物です。