『シルバーウイークどこに出かけよう?』とかねてより考えていて

作ったプランは乗鞍スカイライン。

ここも昔昔行ったことがあります、両親と。

しかし乗鞍スカイラインを完璧に走破したのか、どうか…。

はっきりした記憶はありません。

標高が高いので、もしかしたら9月末でも気の早い紅葉狩りができるかもしれない

 と思いました。

今は通年を通して乗鞍スカイラインへの自家用車乗り入れ禁止で、

手前に車を置いてローカルバスに乗り換えなければなりません。

その駐車場への道は…

(google mapより)

旅程はご覧の通り…

 岸和田泉ICより高速道に突入して阪和自動車道、近畿自動車道北上して、門真JCTより第二京阪、

久御山JCTより京滋バイパス、瀬田東より名神、一宮JCTから東海北陸自動車道

それが知らない間に中部縦貫に名前が変わって高山ICまでそこからは一般道にて県道89号線、国道158号線

でほおのき平バスターミナルまで約370km4時間半。

自宅を日付が変わるとすぐに飛び出して目的地に着いたのは午前5時半。

途中に何度かトイレ休憩をはさみつつ…。

まだ暗かったのでこのほおのき平バスターミナルがなかなかに見つからず、少し悪戦苦闘。

ついてみると午前7時55分発の一番バスへの行列が既にどっさり…。

更に不安な事に雨がぽつぽつ…。

こちらが乗鞍スカイライン付近の地図。

地図の左角にある赤い印が車を停めた場所。この場所の標高は約1200m。

地図内に見えているくねくね道が乗鞍スカイライン。

紫の文字の場所が畳平で、バス停として日本の最高地、標高2702m。

と言うわけで標高差1500mをほぼ1時間かけて登っていく事に…。

5時半ごろから7時55分発のバス待ちの行列に加わって、あたりを見回すと。

目の前には持ち主のいないバックパックとか椅子とかが行列を作る様に多数置かれている。

駐車場にたくさん止められている車の幾つかに持ち主がいる筈…。

そしてバスの動きが見られたら突然所有者がどこからとも現れる、そして私達はどんどん後ろに…。

余り想像したくもない状況。

行列の中の放置されている荷物を一つ、二つと目で数えてみる、一体何人が待っているのだろう。

自分達が始発のバスに果たして乗れるかどうか???と不安になる。

でも駐車場には大型観光バスが3台駐車しているので、

一台目には無理でも三台の内には私達用の乗車席を確保できるよね…とか考えてみたり。

相も変わらず、雨もぽつぽつ…。これも気になる。

予想していた時間よりも早く、スタッフの方々が現れはじめた。

間隔も含めて何もかもがめちゃくちゃだったバス待ちの行列を整理し始めた。

一列の人数を整え、スマホに乗車券が表示されているかどうかを確認、

表示できない人には切符販売所に行くように指示している、と見て取れて

『あの人は列のどこに場所を獲得できるのだろう?』とどうでも良いことが気にかかる。

慌てて殺到して荷物のもとに寄り添う持ち主、

現れない持ち主の荷物はそのまま飛び越えて、つまり見知らぬ人の順序は後ろに回っていく。

その状況をぼっと眺めながら、降る雨は冷たい。

バス会社の女性スタッフがバス待ちをして列に並んでいる乗客に傘を配り始めた。と同時に

『ご心配なく、すべての方がバスに乗ることが出来ます。

待っていらっしゃる方の分のバスを用意しますから。

雨が降っていますから傘を使って下さい。』

と叫ぶ。その光景をぼっと眺めながら、

『そうは言っても傘を広げると横の人の体に傘の端が当たったりするじゃない。

それに傘からのしずくも周りの人の体に落ちるのも嫌だし。』

とか、考えていた。しかし傘が好きなイギリス紳士の主人。

『傘が要る?傘を借りることが出来るよ。今配っている所に行って借りることが出来るよ。』

と尋ねると、『傘なら車のトランクに入っているよ。』と返してくる。

『そういうことを聞いているのではないのだけれど…。』

と心の中でつぶやく。

『わざわざ遠くにある車まで行って、傘を取り出すことも面倒なら、バスに乗る前にまたトランクに入れに行くのも面倒なのに。

今バス会社が配っている傘を借りて、バスに乗る直前に返せば簡単なのに。』

と思うけれど、彼の尺度ではそのように簡単に割り切って借りることが出来ないらしい。

天気でも常に長い雨傘を抱えているイギリス紳士だから…。

雨の時には自分の傘を使うものらしい。

『あ~あ面倒くさい人だ。』

と、思うけれどその面倒な人を日本に連れて来たのは私。

そんな事をぼっと考えていると、全く見も知らない人が傘を差しだして、たどたどしい英語で話しかけてくる。

彼が言いたかったのは、

『これは借りる事の出来る傘だから使って下さい。』

と言う事だったらしい。見ると幼い男の子を連れた若い父親だった。

幼い子は父を見つめて雨に濡れている。その子のために父親は再度傘を借りる場所に歩み去ろうとした。

年をとって来るとつい、『今時の若い者は…。』と思ってしまうけれど、

『こういう若い人がいると言う事は日本もまだ捨てたものではないな。』

と思い返す。しかしここで問題は彼の親切に私はどう答えるか、

日本人ですべてが分かっていることをばらすかどうか。

明らかに無理をして英語で話しかけてきたことから判断するに

彼は私のことも日本語の分からない外国人と判断している事は確か…。

さあここで私が日本人であること、すべての状況を完全に理解していることを表明するか、どうか…。

結局、彼には日本語ではっきりと私は日本人である事、すべての状況は分かっている事を説明して

『本当にご親切を有難うございます。』と言う言葉とともに傘を受け取った。

そして主人には

『あの日本人の親切に応えるのはあなたの義務。ちゃんとこの傘を使え。それが日本文化だ。』

と英語で命令した。

そのうちにバスの時刻表よりも随分早いにもかかわらず

前の方から乗客がバスに乗り込み始め、すぐに一杯になり、発車した。

少しずつゆっくりと列は前に動いていく。そして新しく次から次へとバスが停車場に入って来る。

本当にすべての乗客を山頂に運ぶために多くのバスが手配されているらしい。

見ているとバスの色も車体のペイントも異なるバスで事前に相当な混雑になることを予想し

他のバス会社からも借り受けて、乗客を支障なく運ぶために応援に増車しているらしい。

私達も三台目のバスに乗り込み、

予定時刻より一時間も早く停車場を出発、山頂を目指すこととなる。

勿論、バスに乗り込む前に傘は指定の場所に、と言うか乗降口のすぐ横の返却場所に。

心の中でもう一度あの若いお父さんに感謝しながら…。

上がバス路、1500mの標高差を登っていくだけあって、さすが急峻な登坂道路。

上記がバスの車窓に広がる景色…。

最後の写真だけは山頂2702mの高さに到着した時♪

この写真が山をくねくねと登っていく道路が一番よく捉えられている気がする…。