イギリスで緩和ケアを学習していた時に、がんの終末の方が家族と心に残る思い出を作れるいい機会がないだろうか、と考えたことがあった。

京大に入る直前の年に父とヨーロッパの国々をめぐるツアーに参加したことがあった。時には調子のよい日もあったけれど、気分の悪い日もあって…。でもこの機会を逃せばおそらくもう海外旅行は無理だろうとのがんセンターの先生の意見もあって、私は父にとって初めてで最後の海外旅行を強行した。父の体調も鑑みて選んだ旅行ツアーであったから、同じ街に二泊づつ滞在していくのんびり目の旅行であったけれど、辛い日にも無理をして移動していかなければならないのは心が傷んだ。そんなところを克服できないだろうか、と考えた。そして答えとして船旅に思い至った。船であれば客室が動いて、患者の方は動く必要はない。

 イギリスであれば海上にそれほど長く単調に滞在せず、様々な国を訪問することができるかもしれない。では船舶の設備はどうなっているのか医師としての目で確認してみたい、とイギリスで客船に乗り込んだ。お金のない時で一番安い船底客室だったけれど…

最初はクイーンエリザベス二世で、ポルトガル、スペイン、イタリアなどをめぐる旅に…。二度目はギリシアの孤島をめぐる旅に…。

  家族の最期が近づいてくることは本当に悲しいことだけれど、それらの日々もまた人生。人生において消すことはできない。残される人が胸を張って後の人生を誇りをもって生きていける日々がプレゼントされるような経験を設定できないだろうか。

 乗り合わせてみると、私が考えたのと同様の趣旨でヨーロッパのがんの患者の方が乗り合わせていた。カメラのシャッターを頼まれて押して『いい思い出ができました。二人で撮った写真がなかったので。』と感謝されたこともあった。その国それぞれの状況、考えをお話しながら有意義な時間を過ごすことができました。



これが船専用の駐車場兼チェックインカウンターへの連絡通路です♪
もうこれでもかというぐらいイギリス国旗が吊るされていました。

ラウンジでの乗船を待っているところ…

一応、一番正式な場なので帽子をかぶって…

もう数千人が乗船するのでラウンジも結構人が込み合っています♪

日本人?この時は発見できなかった。

 これが乗船時に必要となる二枚のカード。

左はずっと使用するカードで、船を降りたり船に戻ったりする際にスワイプして状況管理に使われます。右は乗船時だけでとにかく乗り込む人数が多いので数グループに分けて数か所の入り口から乗り込みます。乗船が近づくと電光表示で指示されます♪『Fグループの人、どこどこの口からお入りください。』ってな感じです。

そしていよいよ出航すると甲板ではパーティー。シャンペンが惜しげもなく開けられ…

旅行中のソフトドリンク、食事は込みだけれど、アルコールは別料金。

で、写真のみ♪シャンペンは買えませんでした。

有名なQE2の出航ということで結構ボートがついてくるのです。安全なのかな♪